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開発チャレンジ応援コラム第265話_開発型企業がやるべき成功率の高いイノベーションのすすめ


「この新技術でイノベーションを起こしたいのです。」

数年かけて自社で開発してきた新技術が一定のレベルまで進み、その新技術を使ってイノベーションを起こしたいと意気込んでいる、ある社長の言葉です。

どんな技術なのかを聞いてみると、待っていました!とばかりに、技術内容の解説が始まります。決して独りよがりな説明ではなく、こちらが理解できるように気をつかいながら、わかり易く丁寧に一つ一つ説明してくれます。社長自身の何とか実用化したいという思いと、実用化できるはず、イノベーションが起こせるという、強い自信がひしひしと感じられます。その強い思いには、頭が下がる思いです。

「どうです。すごいでしょう。画期的だと思いませんか?」

確かに画期的な技術です。しかし、残念ながらこの熱を上げている社長の頭を冷やすひつようがあります。なぜなら、まだまだ実用化には、高い高いハードルが待ち構えていることが見えてしまったからです。

誤解しないで欲しいのですが、新技術開発への挑戦は、すばらしいことです。社会全体が保守的になっている時代において、挑戦意欲は、たいへんに貴重で応援したくなりますし、実際に支援もしています。ただし、その成功率の低さと失敗したときのリスクを冷静に理解し、開発を適切にマネジメントすることが前提です。思いだけで突っ走っては、後から取り返しのつかないことになってしまいます。少し誤解されかねない表現になりますが、やるからには失敗しても良いやり方を取らなければなりません。もちろん、成功を目指してやるのですが。この辺りの感覚とマネジメントがとても難しいのが新技術開発です。

一方で、何も新技術を開発しなくても、イノベーションは起こせます。そもそもイノベーションは、技術革新では無く、新結合です。既存技術と既存技術の新しい組み合わせや、既存技術と既存市場の新しい組み合わせでもイノベーションは起こせます。新技術の実用化は、新技術が既存市場あるいは新市場とつながることであり、必然的に新しい組み合わせとなるため、イノベーションを起こせる可能性を持つ最もわかりやすい方法です。しかし、その難易度は、他の方法に比べて格段に高いことを忘れてはいけません。

「だからこそ、挑戦し甲斐がある。」

そんな声が聞こえてきそうです。確かにそれは否定しません。ただし、前述の既存技術と既存技術の新しい組み合わせや、既存技術と既存市場の新しい組み合わせなど、新技術よりもはるかに簡単にイノベーションが起こせる方法があることも忘れてはいけません。

例えば、異業種の会社との共同開発。これも新しい結合です。一般にオープンイノベーションと呼ばれる取り組みであり、新技術開発よりも難易度の低い手法です。会社と会社、人と人、技術と技術、技術と市場など、新しい組み合わせは、新結合=イノベーションを起こせる可能性を秘めているのです。

ただし、ここで注意しなければならないことがあります。それは、会社と会社や、人と人の新しい組み合わせを作って共同開発を行えば、イノベーションが起こせるという安易な考えを持つことです。異業種の会社や人を集めればイノベーションが起こせるというほど甘くはありません。

イノベーションを起こすためには、絶対に忘れてはいけないことがあります。

それは、「イノベーションは、一人の人間の中で起こる」ということです。

これとこれを新結合して、こういったイノベーションを起こすという、考え=企画は、一人の人間の中で生まれるものです。最初は、異業種を含めた様々な情報や知恵を集積し共有しなければなりませんが、最後に、それらの情報や知恵を結び付け、ひらめくのは、あくまで一人であるということなのです。

イノベーションを起こす企画は、皆で集めって話し合った会議の場で生まれるものではありません。様々な知識、情報を収集し、それらを消化吸収し、その上で新しく組み合わせることができた一人の人間が存在して初めて起こせることです。異なる知識を消化吸収し考えられる人が必要なのです。

何かやろうと集まっても、考えられる人がいなければ、何も生まれません。せいぜい、Aという知識とBという知識から、A+Bという誰もが考える一般解が出てくるだけです。イノベーションを起こすには、A×Bの効果を引き出せる一人の人間が必要なのです。

御社には、異なる知識を組わせて新しい解を導き出せる人がいますか?