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コラム第251話:不連続な市場で収益を得る開発型企業の経営者がやっていること


「なるほど。面白そうですね。少し探ってみますか。」

ご支援中の企業と、開発のネタ探しをしていたときのことです。ある技術ネタを見つけ、可能性を探った結果、脈ありとなり、動いてみようという結論になりました。その後、実際に動き、今では本格的な実用化開発段階に進んでいます。他社に先駆けて取り組んでいて良かったと言える状況です。

ところが、この案件に対するこの企業の反応は、最初からこうではありませんでした。最初にこの技術ネタを見つけたときの反応は、次のようなものでした。

「こんなレベルでは使いものになりません。難しいのではないですか?」

この技術は、ある大学が取り組んできた技術でした。この企業の将来を考えた時に、可能性があり面白そうな技術だったので取り組みをうながしたのですが、このように、技術者からはつれない反応が返ってきました。冒頭の状況になっている今となっては笑い話ですが、当初の反応は間違っていました。しかし、開発の現場では、この間違った反応がよく出てきます。

使えない、まだレベルが低い、難しそうなど、新しい技術ネタに遭遇したときによく出てくる反応です。そして、あきらめてしまいます。あきらめて何をするのかと言えば、既存事業の延長線上で改良を続けます。そんな既存事業の延長線上では、先細りなのは目に見えているにも関わらず。

ところが、そんな技術ネタの中には、少なからず可能性があるものがあります。現に、可能性があるものが含まれているから、それをものにする企業が実際に存在しています。「可能性がある技術がなかなか見つけられない」と訴える企業がありますが、見つけられないケースよりも、目の前の可能性に気づかないケースの方が圧倒的に多いのが実感です。可能性があるのに、難しく可能性無しとしてしまっているのです。

なぜ、実際には可能性があるのに、その可能性に気づかないのでしょうか?

それは、既に改良を重ね、確立され、何年も技術とノウハウが蓄積されてきた既存の技術と比較してしまっているからです。これからの技術を 何年もかけて改良され確率されてきた技術と比較したら、当然その差は膨大で、とても使いものにならないと感じてしまいます。

既存の確立されたものと、これからのものを、いま、同じ土俵で、比較してはならないのです。既存の確立されたものと比較するのではなく、その技術の将来性、将来の可能性を見出すことができるかどうか。そして、可能性があるのであれば、芽が出るかどうか、種を巻き、水をあげてみることです。それをする前に、難しそうと種を巻くのをあきらめてしまっていては、当然ながら、永久に芽は出てきません。可能性があるのに、種を巻く前からあきらめてしまうのは、早すぎるのです。

一方で、可能性があるからと、新技術に入れ込み、人と時間をかけて、その技術の開発に没頭してしまう企業もあります。これは、危険です。芽が出る可能性はあっても、芽が出るとは限らないのです。むしろ、芽が出ないことの方が多いのが現実です。そのような中で、一つのことに入れ込むと、その芽が出なかったときに大変なダメージを受けることになってしまいます。

不連続な市場、不連続な技術の進化の中では、不確実性が高まります。多くのネタ(種)の中から、芽が出るのは少数です。そして、芽が出ても、そこから育つのは、さらに少数です。そこから収穫できるものは、さらに減ります。このようなビジネスの世界で収益を上げていくためには、何より、多くのネタを探し、少しでも多くの種を巻き、水を上げ、芽を出させ、出た芽を間引き、栄養を与えて育て、収穫まで持っていくことです。しかも、実際の畑とは違って、一つのことが収穫できてから次の種を巻いていては遅すぎます。絶えず、ネタを探し、種を巻かなければ間に合わないのです。不確実で確率が低いことを前提に、このことを大いに頭に入れて行動しなければなりません。

そして、最も重要なポイントは、これを限られた人員の中でやらなければならない、ということです。

ネタが無い、種を巻かないのでは、話になりません。「ネタがたくさんあって困る。どれを育てようか悩ましい。」これが、開発型企業の特徴です。そして、こういった開発型企業では、経営者が、常にネタを探し、情報を見つけては社内に流しています。そして、「面白そうだから、ちょっと探ってみるか。」といった文化を社内に創っています。

御社は、常にネタを探し、種まきしていますか?
巻いた種の芽が出過ぎて、うれしい悲鳴をあげていますか?