〒104-0061
東京都中央区銀座6-13-16
銀座WallビルUCF5階

TEL : 03-5771-8175

コラム第242話:製品の良さにこだわって開発したのに儲けられない企業に欠けている視点


「少し遅れていますが、手を抜かずに仕上げます。」
ご支援中の企業に、ある開発の進捗を訪ねた時の回答です。

開発のご支援をしていて、時々、頭の中で警報が鳴ることがあるのですが、この回答を聞いた時にもその警報が鳴りました。この答えのある部分が、頭の中で強く引っかかったからです。

引っかかった部分は、前半の「遅れていますが」ではありません。様々な理由で遅れることはあります。特に、開発では、想定外のことが起こるので、遅れることを完全に防止することはできません。ですから、遅れたこと自体に警報がなったのではありません。

引っかかったのは、遅れたことではなく、その後の「手を抜かずに仕上げます」という部分です。さらにご説明すると、この言葉自体が引っかかったのではなく、遅れたことへの対応として真っ先にこの言葉が返ってきたことに、強く引っかかったのです。

誤解しないで欲しいのですが、手を抜けと言っているのではありません。言いたいのは、その前に考えるべきことがあり、答えるべきことがあり、頭の中の優先順位に対する意識の問題です。

最初に「手を抜かずに仕上げる」と答えるということは、良いものを創りたい、という意識が何よりも勝っている恐れがあります。そして、開発は、それではだめなのです。それよりも先に、強く意識するべきことがあります。ですから、頭の中で警報が鳴ったのです。

良いものを創ることよりも先に強く意識するべきこと、それは、「機」です。別の言葉で言うと、タイミングです。

どんなに良いものを開発しても、この「機」を逃してしまっては何にもなりません。良いものを創るために一生懸命になる。このこと自体は、たいへん素晴らしいことです。しかし、そのためなら、どんなに時間をかけても良いのか?これを考えなければなりません。

  • お客さんは、待っていてくれるのか?
  • 他社は、止まっていてくれるのか?
  • 自社(開発側)の都合に合わせてくれるのか?

答えは、もちろん「否」です。開発では、何よりもこの「機」を強く意識しなければなりません。機を逃せば、どんなに素晴らしく良いものを開発しても、全く売れない事態に陥ります。もう少し早く開発できていたら儲けられたはずなのに、誰も浮かばれないことになります。そのような事態にしないために、開発の「時」をマネジメントしなければなりません。この開発の時のマネジメントが何よりも大切なのです。

手を抜かずに仕上げることを最優先に考えるということは、この開発の完了、すなわち製品化が遅れる可能性が非常に高いということなのです。遅れてしまうと「機」を逃してしまう場合は、機を最優先にして時をマネジメントしなければなりません。

冒頭の企業には、直ぐにこの点をご指摘して、機を最優先に計画を見直しました。ほんのわずかな意識の違いですが、開発が成功に終わるか、失敗に終わるか、天と地ほどの差を生みます。

御社は、開発の時をマネジメントできていますか?
意識レベルからマネジメントしていきましょう!