〒104-0061
東京都中央区銀座6-13-16
銀座WallビルUCF5階

TEL : 03-5771-8175

コラム第237話:マネージャーに向くプレーヤーと向かないプレーヤーの見極め方


先日、ある企業の相談を受け、ご訪問したときのことです。社長から、その会社の製品説明を受けたのですが、とても感心しました。数々のユニークな開発製品が並び、これは良いなと直感できたからです。実際に聞いてみると、やはり良く売れた、とのことでした。大したものだなと感心して聞いていたのですが、同時に、なぜ、これだけの製品開発を成功させた企業が相談するのだろうか?という疑問が浮かびます。そこで、次の質問をしてみます。

「これらの主要製品を開発したのは、いつ頃ですか?」

「ほとんどが、10年以上前のものです。特に、ここ5年ほどは、大きく利益を伸ばせるような製品は開発できていません・・・。お察しの通り、それが、ご相談理由です。」

やはり、そうでした。この会社の主力製品の開発は、過去のもの、だったのです。なぜ、これが予測できたのかと言うと、察しが良いのでも何でもなく、単にこれが珍しいケースでは無いからです。「過去には素晴らしい開発ができていた」という相談は、意外にも多いのです。

では、なぜ、できていたものが、できなくなるのでしょうか?

それは、できていた人が居なくなったからです。

この企業もそうでした。詳しくお話を聞いてみると、開発できていた人は、前社長の創業者の方でした。創業者が発明家肌の人で、次々とユニークな製品を考え、開発を引っ張って、ものにしていました。周囲の技術者は、創業者に振り回されながらも必死についていっていました。いつもドタバタしていて、最初の内は、もうやってられないといった不平不満が出ていたものの、いつも結果は大成功で、やがて、創業者についていけば間違いは無いとの安心感が広がっていたのです。ところが、その創業者が引退し、5年前からは全く関与できなくなってしまいました。すると、途端に開発が上手くいかなくなったのです。

開発が完全にストップしたわけではありません。創業者の引退後も、自分達で考え、いくつかの製品を開発してきました。しかし、どれもパッとしませんでした。創業者とやっていたころには、そんなことは無かったのに。最初の内は、失敗することもあると気を取り直して次に向かっていたものの、それが何度も何年も続いてしまい、すっかり意気消沈です。なんとかしなければと、二代目が相談に来たというのが、相談理由でした。

このケースのように、創業者が発明家肌で、代が変わった途端に開発力を失った・・・というケース以外にも、それまで開発を引っ張ってきた優秀な開発者が居なくなった途端に開発力を失った、というケースはよく起こることです。

なぜ、こういった事態に陥るのでしょうか?

それは、会社がプレーヤーに頼っていた、からです。

優秀な開発者というプレーヤーに頼ってしまっていたために、そのプレーヤーが居なくなると、途端に開発ができなくなってしまうのです。

さらに、本質的な原因を言うと、開発のマネジメントができていない、マネージャーが不在、だからに他なりません。

発明家である創業者や、優秀な開発者がマネジメントできるはず、と思われる方がいらっしゃるかもしれません。しかし、よく言われることですが、名プレーヤー=名マネージャーではありません。特に、開発のマネジメントは難しく、名プレーヤーの多くは、名マネージャーにはなれません。

では、どんな人なら、名マネージャーになれるのでしょうか?

それは、プレーヤーとして自分のやっていることをわかりやすく周囲に説明し、理解させ伝えることができる人です。

「なんだ、そんなこと。」と思われる人も多いかもしれません。しかし、これが難しいのです。このことは、実際に、発明家肌の創業者や、名開発者に質問してみるとわかります。自分たちにしか理解できないような説明をしたり、説明が断片的だったり、単なる武勇伝だったり。発明家肌の人や優秀な開発者は、往々にして、直感や感性で開発をしているので、いざ、他人ができるようにそれを伝えようとしても、上手く整理して言語化して伝えることができないのです。これでは、後に続く普通の社員では、それを理解して同じように開発することはできません。こうして、名プレーヤーの引退とともに、会社としてまともに開発ができなくなってしまうのです。

こうならないためには、やはり、開発のマネジメントをきちっとできるようにならなければなりません。プレーヤーからマネージャーを育てなければならないのです。

そのためには、普通の社員が理解できるように、開発の考え方、手順、ルール、判断基準を言語化し、整理して、説明できないといけないのです。

御社は、開発のマネジメント力をつけようとしていますか?
名プレーヤーに頼っていたり、名プレーヤーの出現を夢見てはいませんか?