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コラム第236話:自ら動く社員が育つ企業のトップがやっていること


「社員がよく動いてくれます」

コロナ禍でも新規開発で成果を出し、好調な業績を続けている、ある社長のコメントです。

この社長の言葉を借りると、大変な環境下でも、社員が必死に考え、自ら動き、開発し、成果を上げています。この社長から言葉として出てくるのは、素晴らしい社員の素晴らしい行動力への賞賛です。

この企業では、コロナ禍以前から、社員が自ら動き、次々と開発で成果を上げていました。それが、現在の逆境下でも留まることなく続いているのです。そして、この社長は、以前からそんな社員の行動力を嬉しそうに報告してくれていました。まるで、ご自身は何もしていない、かのように。

しかし、実際には、社長が何もせず、社員がひとりでに大変な環境下でも環境のせいにせず自ら奮い立って考え行動し努力するようなことは絶対に起こりません。この社長は、人知れず、そうなるように、努力を続けているのです。

一方で、「社員が動かない」と愚痴ばかりこぼす社長がいます。社長にはやるべきことが見えており、これをやるべしと指示を出しているのに、社員の行動力が伴わず、思うように進まない現状に思わず愚痴が出てしまう、そんな状態です。しかし、指示するだけでは冒頭の社長の企業のようにはなれません。

ただ、こういった企業は、指示しているだけ良い方です。さらにひどい場合は、社長が、これをやらなければと頭に浮かんでも、「社員が動きそうにない」と社長から社員に対する不安が先に口から出てきます。

はっきり申し上げて、これは重症です。なぜなら、社長が自ら「不安」を口にしているからです。不安、これは、失敗への恐怖心から出てくるものです。「社員が動きそうにない」と社員への不安を口にする社長には、やろうとしても自社の社員は動かず失敗する、という失敗への恐怖心を口にしているのです。

もうお分かりだと思いますが、この失敗への恐怖心は、行動意欲、行動力を奪います。失敗への恐怖心を抱いてしまっている社長は、失敗への恐怖から、「社員に指示する」という行動力を失っているのです。当たり前のことですが、社員が動くも動かないも、やってみないことには、動く可能性はゼロです。

さらに、この失敗への恐怖心が深刻なのは、それがウィルスのように伝染する、と言うことです。不安は、人から人へ伝染するものです。一人が不安にとらわれていると、それは周囲の人に伝染します。そして、その人の影響力が大きければ大きいほど、それは、より多くの人に伝染します。企業の中で最も影響力のある社長が、この不安にとらわれていると、多数の社員がこれを敏感に察知し、自らも不安を抱いてしまうのです。こうなると、会社中から新しい行動への意欲が失われてしまいます。

社員の行動力を引き出すためには、不安は禁物です。中でも社長の不安は厳禁です。社員の行動力を引き出すために、社長に必要なのは、不安とは真逆のものです。

社員の行動力を引き出すために最も必要なもの、それは、社長の思いです。

本来、人は赤ん坊として生まれたときから、旺盛な行動力を持っています。目が見えて来れば目で色々なものを追い、動けるようになればどんどん動いていきます。周囲から見ればとても危険な行動でもお構いなしです。その行動力の源泉には、「好奇心」があります。そして、その行動力という力をいかんなく発揮できるのは、そこに「不安=恐怖心」が無いからです。ところが、大人になるにしたがって、失敗を重ね、人は、失敗への恐怖心を抱くようになります。さらに、多くのことを経験してしまい、次第に好奇心が失われていきます。これによって、本来持っている行動力がどんどん発揮できなくなっていきます。この状態を打破するために必要なのが、「思い」なのです。大人には、赤ん坊には無いこの思いがあります。失われた好奇心の代わりに不安に打ち勝ち行動力を取り戻すためにあるのが、思いなのです。

冒頭の社長は、何もしていないのではありません。実は、常に自分の思いを社員に伝えています。

社長が思いを語り、社員がその思いに呼応して挑戦を楽しむ。そういった企業には、勢いがあります。冒頭の企業のように、開発を次々と成功させる勢いとエネルギーが出てくるのです。

社員をやる気にさせ、本来持っている行動力を引き出すためには、思いを語る、という社長の基本的な行動が欠かせないのです。

ただし、それは、社員の行動力を引き出せるような思いでなければなりません。その思いに対する社員の共感と納得が必要です。ただ語っても言葉だけが上滑りし、空回りしてしまいます。下手をすると、かえってしらけてしまう事態になりかねません。

御社は、思い、を語っていますか?
その思いは、社員の心に火を灯していますか?

失敗したら、逃げずに乗り越える、その姿勢が失敗への恐怖心を取り去ります。たとえ失敗しても、強い思いをブレずに伝え、前を向いて進んでいれば、必ず道は開け、途中の失敗も良い経験に変わります。皆さんの挑戦を応援します!