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コラム第233話:成長分野に経営資源を移せる開発型企業とそうできない企業の違い


「先生、いま業務の見直しをさせているところです。」
数年前にご支援したある企業の社長さんからの近況連絡です。

なぜ、見直しをかけているのかを聞いてみると、「実は、今度・・・」と、新たな開発に取り組めるようにと、その理由を説明してくれました。さすがの社長です。

当たり前のことですが、ビジネスにおいて成長分野は常に変わっていきます。持続的成長のためには、常に変わっていく外部環境に対応して、開発する製品、商品を変えていかなければなりません。

しかし、多くの企業は、これができません。社長が鈍感なのかというと、そうではありません。多くの社長は、外部環境の変化を察知しており、なんとか対応したい、会社を変えたい、そう思っていますし、実際に行動を起こす社長もいます。ところが、上手くいかないのです。

なぜ、上手く行かないのか?

それは、社内が変化に対応する体質になっていないからです。

社長が外部環境の変化をいち早くキャッチし、変化に対応した製品や商品の開発をしようと社内に指示したり相談したりしたときに、それに対応できない企業では、次の大きく2つのパターンの反応が出ます。

一つは、今の仕事が忙しく、とても対応できないという反発を受けるパターンです。やるのであれば、人を増やさなければならない。人を新たに採用できるのか?仮に採用できたとしても新たな人を育てるのに5年はかかる。5年も待てるのか?そう言って膠着状態になるパターンです。

もう一つは、指示されたとおりに必死にやろうとするパターンです。今の仕事を懸命に行いながら、さらに、新たな仕事にも懸命にがんばろうとします。しかし、このパターンの場合は、すでに何度も同じことが繰り返されており、必ず破綻します。社員が疲弊し倒れてしまいます。あるいは、様々な業務で今までになかったような大小のミスが頻発するようになってしまいます。限界を超えるのです。こうなると、従来の仕事も新しい仕事も共倒れになってしまいます。

これら2つのパターンに共通する失敗原因は、今までの仕事を全く変えずに、新しい取り組みに手を出そうとしていることです。前者のパターンは、今までの仕事で手一杯で余裕がないからできないという結果であり、後者のパターンは、本当は余裕が無いのに無理に手を出すから、途中で破綻するという結果です。

こうならないために、新しい取り組みをやるためには、冒頭の社長のように、先に今までの仕事を見直す必要があるのです。

ところが、多くの企業の場合、いざ、今までの仕事を見直そうとすると、社内からたいへんな反発を受けます。無駄な仕事なんて無い、減らせる仕事など無い、やめていい仕事なんてない、そこをやめたら色んな問題が起こる、などなど、場合によっては脅しとも取れるようなとても激しい抵抗を受けます。

一方で、冒頭の企業のような、常に新しい開発に取り組む開発型企業は、新しい取り組みを始める前に、今までの取り組みから新しい取り組みへと、きちんと経営資源を移します。今までの仕事を整理し、減らし、そこから人を抜きます。もちろん、その過程では、多少の調整が必要になります。しかし、激しい抵抗により動かなくなるということはありません。

なぜ、開発型企業は、経営資源を移せるのか?

それは、変化を当然のこととし、会社の文化として取り入れているからです。

具体的には、人を変える、仕事を変える、役割を変える、組織を変える、これらのことを日常的に行っています。「人も仕事も組織も変わるもの」という認識を社内の中に定着させているのです。

人や仕事や組織が長く変わらずに安定していると、その安定を守ろうとする力が働きます。変わらない期間が長ければ長いほど、この力は増していきます。5年以上、変わらぬ組織、変わらぬメンバー、変わらぬ仕事が続いている場合は、赤信号です。5年も変わらない市場はめったにないのに、社内は5年以上ほとんど変わっていない。この状態は、既に変わる力を失った状態です。

開発型企業は、ここにしっかりとメスを入れ、日常的に、人を変え、仕事を変え、役割を変え、組織を変えているのです。

御社は、組織、仕事を頻繁に変えていますか?
ずっと変わらぬ組織、変わらぬメンバーに、社員の心が固着していませんか?