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コラム第222話:新規開発で変異を起こす会社と起こせない会社の違い


「先生、こんな開発をやりたいと言う変わり者の社員がいるのですが、どう思いますか?」

ある社長からのご質問です。一通り、その社員がやりたいという技術開発の内容を聞いた後に、こう答えます。

「面白いですね。やらせてみてはどうですか?」

すると、「そうでしょう!私もそう思っていました。面白そうなのですよね。先生もそう思いますか。よし!やってみますか。」との反応。どうやら、背中を押して欲しかったようです。

誤解しないで欲しいのですが、社員がやりたいと言ってきたことに対して、無条件にGoサインを出しましょう、と言っているわけではありません。このケースでは、詳しく話を聞いた結果、可能性ありと判断できたので、「やってみては」と答えました。ただ、一般的な感覚では、この社員の提案は、かなり突飛な内容でした。普通の会社なら、取り合ってもらえないような内容です。でも、様々な指標から可能性ありと判断し、それをお伝えしました。

特筆すべきは、この社長がこの突飛な提案に可能性を感じることができたことです。普通なら、取り合いもしないような内容に対して、可能性を感じ、それを第3者に確認してみたことです。これは、素晴らしい行動です。その行動が、この会社の可能性の扉を開くことになったのです。ちょっとしたことですが、見逃してしまいそうな かすかなきっかけを上手くつかんで飛躍する会社には、こういった社長がいるものです。

変異を仕組みとして持つ組織体の生命力は、すさまじく強い。

これは、生物の世界では既に証明されていることです。生物の進化は、変異あってこそです。いま、猛威をふるっているウィルスの生命力もまた、この変異の力です。どんなに強力なワクチンができても、変異を繰り返して生き残っていきます。ウィルスの繁栄は、人類にとって望ましくない側面が多くありますが、その生命力には学ぶべき点があります。

ウィルスは、外部環境の変化に対して、自分自身を変異させて対応し、生き残っていますが、この生き残りのメカニズムは、あらゆる生命体に通じます。会社も例外ではありません。会社も一つの組織体であり生命体です。同じ生命体である会社組織がウィルスから学べること。それが変異による生き残りの仕組みです。

会社も外部環境の変化にさらされています。これに対して、内部を何も変えなければ、いずれ対応できなくなります。長く生き残っていくためには、内部を変えなければなりません。

そして、大切なことは、内部を変える変異が一定間隔で起こるように、仕組み化することです。ウィルスは、この仕組みを持っています。一定の頻度で変異を起こし、一定の確率で生き残る変異が起きるように仕組み化されています。それによって、極めて強い生命力を得ています。会社もこの変異の仕組みを持つことです。

では、どうすれば変異の仕組みを持つことができるのでしょうか?

これもウィルスから学べます。ウィルスが変異するのは、一定の確率で、コピーミスを起こすからです。完璧なコピーができるようにするのではなく、コピーミスを起こすようにすることで、一定確率で変異するように仕組んでいるのです。

会社も同じです。同じような考えで、同じように行動する完璧で一様な人財ばかりをコピーしたかのようにそろえていては、変異は起きません。いつも同じメンバーで同じように議論し、みんなで正解を求めるように議論し、結論を出していては、同じ答えしか出てきません。異端者の意見は排除され続けます。これでは、ひとたび外部環境の変化が起これば、一発で沈んでしまいます。もし、ウィルスに変異の仕組みが無ければ、一つのワクチンで簡単に消滅してしまうのと同じです。

多くの発明やイノベーションが、異端者や辺境から生まれているのは偶然ではありません。多くの発明やイノベーションは、多数派から見て正しくないことや、失敗から生まれています。自社の技術や製品、商品を変異させ、次なる成長を手に入れるためには、ミスや異端を拾い上げる仕組みが必要なのです。

御社は、ずっと同じメンバーで、正しさを追求し、議論や取り組みが硬直化していませんか?
異端者や外部の異なる意見に耳を傾けていますか?