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コラム第217話:指示待ち社員が抱く製品開発、技術開発への恐怖とその克服法


「なんというか、言いにくいのですが・・・、開発するのは怖いです。」

しばらく前に、ある企業から製品開発のご相談を受けた時のことです。開発したいと考えた経営者が、その経営者が担当にと考えていた中堅の技術者と一緒にご相談に来られました。

経営者から、会社の現状と、開発したいとの思いを一通りお聞きした後、技術者に率直に意見を聞いてみた時の反応が、冒頭の言葉です。

これを言うのは怖いけれど、開発することになるのはもっと怖い。なので、恐る恐る発言したといった雰囲気で、強い恐怖心が表情に現れていました。それが今でも印象に残っているほどです。

実は、社員のこの反応は特別なことではありません。これまで自ら製品や技術を開発したことが無い企業の経営者が開発をやろうとすると、非常に高い確率で、社員は恐怖心を持ちます。この方のように、恐怖心を直接、口にする方はマレですが、口にはしなくても、内心恐怖心を感じているというのは、多いというより、通常の反応です。

社長がやろう!と言っても、社員は反応しなかったり、警戒したり、やめた方が良い理由を並べたり、現業の忙しさを強調してそんな余裕が無いことを必死にアピールしたり・・・。本当によくある反応です。それだけ、多くの社員が恐怖心を抱いているということです。

なぜ、これだけの恐怖心を抱くのでしょうか?

そこには、未知への恐怖があります。

やったことが無い、難しそう、よく失敗した話を聞く、成功者の話を聞くと大変そうでとても自分たちにはできないと感じる・・・などなど、やる前からとても強い心のバリアが働いています。

ここで大切なことは、この恐怖心には、具体的にここが怖いという部分が無いということです。

試しに、聞いてみるとわかります。怖がる社員に、具体的にどこが怖いのかを聞いてみても、大抵、あまりはっきりした回答は返ってきません。なんとなく・・・なのです。先の技術者もそうでした。具体的なことは出てきませんでした。

この具体的には無いというのが、この問題がなかなか解決できない原因です。具体的に解決しようにも問題が具体化されないからです。しかし、逆に、ここにこそ解決する糸口があります。

心のバリアが働く原因、それは、未知への恐怖心です。得体の知れないものへの恐怖、良く知らないための恐怖、だから具体的には言えず、だからなかなか解決できない・・・。

しかし、それならば、逆に解決は簡単なはずです。原因が未知にあるのですから、解決するには、知ってしまえば良い。知ってしまえば、「なんだ、できるじゃないか。」と、そんなに難しくないことがわかります。それで解決です。

しかし、問題は、どうやって知らせるか?です。やればわかるがやらないとわからない、わからないから怖い、怖いからやれない、これでは永久にわかる=知ることができません。

この無限ループを解いて解決するためにはどうするか?

ちょっと強引に思えるかもしれませんが、解決法は、恐怖を感じる間を与えずに、体験させることです。ある日突然、客先との打ち合わせに呼ばれて組み込まれたり、サプライズ人事が出て、やることになったり。人間、やらざるを得ない状況になれば適応するものです。言い方は悪いですが、やらざるを得ない状況に放り込むことです。

ただし、その後は、見守り、サポートする必要があります。決して、1人に、孤独にしてはいけません。しっかり支えることです。その覚悟と愛情をもって任につかせることです。

きっと、先の技術者は、いま、このコラムを笑いながら読んでいると思います。

次は、御社が笑う番です。