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コラム204話:開発が後追いになる企業の原因と結果の法則


「営業に調べさせています。」

いつも開発が後手に回るというA社長。ご相談を受けていろいろお聞きしていた時のことです。何を開発するか決める時、お客さんの情報をどうやって集めているのかを質問したところ、この回答が返ってきました。営業が調べて集めてくれたお客さんの要望や課題の中から、何を開発するかを決めてやっているということです。

ところが、結果は、いつもお客さんの求めに対して開発が遅れてしまい、できた頃には別の要求をされてしまう。あるいは、他社に先を越されてしまい開発が無駄になったり、価格を下げてなんとか受注できても、とても開発費は回収できない。そんなことが続いてしまっている。なんとかこれを防ぐために、もっと速く開発する方法はないか?そう考えて当社に相談したとのことでした。

つまり、A社長の考えでは、「開発が後手に回って利益にならない結果に終わる原因は、開発が遅いことにある」というのです。

果たして、そうでしょうか?

例えば、これまでA社が1年かけて開発していたものを半年で開発できるようになったら、この問題は解決されるのでしょうか?A社長の原因と結果の考えが正しければ、解決されるはずです。顧客の要望に間に合い、他社の先を越し、儲けることができるようになるはずです。

しかし、残念ながら、そうはなりません。

確かに今までよりは速くお客さんに提供できるでしょう。しかし、他社はもっと速いはずです。そして、顧客はすぐに次を求めます。開発スピードを多少上げたところで、根本的な解決にはなりません。なぜなら、開発が後手に回る原因は、開発が遅いことではないからです。原因を間違えて捉えてしまった対策は、対策になりません。

では、何が原因なのでしょうか?

実は、A社の開発は、開発に着手した時には、既に後手に回っているのです。つまり、着手が遅いのです。他社は、とっくに着手しています。多くの場合、もう既にお客さんへの提供を開始しているか、開始する直前なのです。そのようなタイミングなのに、その時期になって開発に着手しても遅いのです。どんなに開発期間を短縮したところで他社にはかないません。なぜなら、A社が着手した時点で、他社は開発を終えているのですから。あり得ませんが、たとえA社が開発期間をゼロにしたところで、せいぜい他社と同時にしかならないのです。

A社の開発が後手に回る原因、それは、開発が遅いのではなく、開発着手が遅いことにあるのです。

では、なぜ、A社の着手は遅くなるのでしょうか?

それは、営業に調べさせているからです。

そんなことは、営業の役割を考えればすぐにわかることです。営業の役割を考えれば、営業が持っている情報、営業が集めてくる情報がどんな情報になるかわかります。彼らが集めてくる情報、それは、「現在」の情報です。これに対して、開発者の役割は何でしょうか?開発者が欲しい情報は何でしょうか?当然、「未来」の情報です。そもそもかみ合わないのです。

それを無理やり営業に調べさせれば、現在の課題を集めてきます。この現在の課題に対して開発に着手しても、提供できるのは未来になります。当たり前のことですが、それでは、お客さんに遅いと言われます。本来、会社の中で最も先を行っているべき開発者が、最先端の情報を営業に聞く。これがどれだけおかしなことか。ちょっと考えれば誰でもわかることです。ところが、このような愚行を恐ろしいほどに多くの企業がやっています。

「開発者が会社に引きこもる企業では、ろくな開発はできない」
これは、長年の経験から得た結論ですが、ここにも通じる話です。

開発者は、自ら、お客さんを見て、お客さんに聞いて、お客さんを感じなければなりません。そして、開発者が知るべき、未来に向けた情報を自ら集めなければならないのです。

御社では、開発者がお客さんに直接会っていますか?
開発者がいつも社内で仕事をし、開発がいつも後手に回ってはいませんか?