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コラム第200話:持続成長する企業が回し続けている経営の両輪とは?


「先生、今期も順調です。でも、あの時、先生に頼んで両輪を回していなかったらと想像すると、ゾっとします。」
今期も増収見込みのA社経営者の言葉です。

一方で、A社と同じ頃にお会いしたB社。お会いした頃は、比較的業績好調でした。当時、今の内に両輪経営を始めることをお薦めしたのですが、好調で忙しく、特に困っているわけではないという理由で取り組みませんでした。それが今では、好調だった事業が不調となり、一転して苦しい状況に追い込まれています。何とか事業を立て直そうにも、自社ではどうにもならない環境の変化の前に、事業の縮小を余儀なくされています。

両社の運命を分けたのは何だったのでしょうか?

数年前までは、A社もB社も同じような状態でした。事業が比較的好調で、それをしっかり回していました。違ったのは、その後の対応です。

B社は、そこから、無駄を省き、社内管理を徹底して、より効率良く経営することを目指しました。実際にそれを実践し実現していきました。一方、A社は、新たな収益源を得ようと、新製品の開発に乗り出しました。そのための仕組みを導入し、人を育て、実際に開発に取り組み、そして成功させました。

A社とB社では、経営者の姿勢に明確な違いがあります。経営をする上での前提条件がはっきりと異なります。A社とB社の経営者の違い、それは、安定を前提にしたか、変化を前提にしたかの違いです。

B社は、安定を前提にしました。好調な事業の売上、受注がこれからも続くことを前提にしました。好調な受注を前提に、いかに社内を効率化するか、そこに注力しました。

一方、A社は、変化を前提にしました。いまの好調な受注はいつまでも続かない。変化に備え、今の内に新たな収益源を確保しようと、新製品の開発に注力しました。

この結果が、両社の違いを生みました。B社は、確かに効率化させました。無駄を省き、利益が上がるようにしました。ただし、受注が維持されていればの話です。現実には、自社ではどうすることもできない環境の変化によって受注が激減し、利益を上げることができなくなりました。一方、A社も当時の稼いでくれていた製品の受注は減っています。もし、それだけに注力していたらB社とさほど変わらない状況になっていたはずです。ところが、A社では新製品が稼いでくれるようになっています。

A社が今でも業績を伸ばすことができているのは、変化を前提に開発に取り組んだおかげです。もちろん、開発だけに注力してもいけません。今稼がなければ食べていけませんから、今稼ぐための経営は必要です。しかし、同時に、将来の稼ぎを創らなければ、いずれ食べていけなくなります。これまた、当然なのです。この二つは、経営の両輪です。この経営の両輪を常に回すことが経営者には絶対に必要なのです。今を稼ぎつつ、将来の稼ぎを創る、これを同時並行で進めなければなりません。

ところが、B社のように、今稼ぐ経営だけしかやっていない企業が非常に多いのが実態です。今は好調だからと安心して何もしない企業だったり、あるいは、今が絶不調で経費削減に奔走した結果、何とかなったと一安心して、そこからは特に何もしていない企業だったりします。これらの企業は、いずれも今の稼ぎしか考えていない企業です。こうなると、今の稼ぎが減るたびに経費削減を重ね、会社は縮んでいくことになります。

一方で、今、好調で余裕があるからと思い付きで将来に向けた開発を始める企業があります。あるいは、不調で追い込まれて、そこで初めて開発を始める企業があります。これらの多くは、失敗に終わります。なぜなら、将来の稼ぎを創ることを甘く見ているからです。そして、将来の稼ぎを創る取り組みが一過性に終わってしまいます。継続することができません。

将来の稼ぎを創るのは、そう簡単なことではありません。思い付きや追い込まれて突然初めて、いきなり成功する、そんな甘い世界ではないのです。将来の稼ぎ創りで成功するためには、好不調に関わらず、絶えず、継続して、取り組んでおかなければなりません。常に取り組み、能力を上げ、取り組みのレベルを上げ、同時に成功率をあげていかなければならないのです。

しかし、そうかといって今稼ぐ部分もおろそかにはできません。今稼ぐ経営と、将来の稼ぎを創るための経営、この両輪は常に継続して回しておかなければならないものです。日頃から、両輪を回している企業が、安定して成長するのです。これは、想像以上に難しいことです。なぜなら、今を回すためのマネジメントと、将来のための取り組みを回すマネジメントが全く異なるからです。異なるどころか、ほとんど真逆と言って良いほどです。

今稼ぐ経営と将来の稼ぎを創る経営を回すには、まず、それぞれを回すきちんとした「仕組み」が必要です。仕組みが無く、行き当たりばったりや思い付き、我流では、とても継続できません。

また、今稼ぐ仕組みが上手くできているからといって、その仕組みをそのまま将来の稼ぎを創る経営に当てはめても絶対に上手くいきません。今稼ぐ経営の仕組みと、将来の稼ぎを創るための経営の仕組みは、別々に、必要なのです。

さらに、その仕組みを定着させなければなりません。そのためには、経営者の覚悟が欠かせません。常に両輪を回す、そのために、仕組み化する、という経営者の強い覚悟が必要です。

A社の経営者は、この覚悟を持ち、将来の稼ぎを創るための経営の仕組み、すなわち、開発の仕組みを導入され定着させました。今では、経営の両輪がしっかりと回っています。両輪が回っていると環境の変化にも一喜一憂しなくてよくなります。それどころか、環境の変化を利用して、さらに業績を伸ばせるようになります。変化に動じるどころか、チャンス到来と攻めることができるようになります。A社は、こうして今も攻め続け、持続成長しています。

御社は、常に、経営の両輪を回していますか?
すぐに始め、常に回し、レベルを上げ続けていますか?