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コラム第193話:加工下請けの薄利状態から抜け出すための開発のあり方とは?


「開発したいのですが、何をどうしたら良いのかわかりません。我々の業界からは、開発は遠い存在です。」
ある加工メーカーの経営者の方の悩みです。

もし、開発できたとしたら、どんな開発をしたいのかを聞いてみると、
「自社商品を開発して、下請けから抜け出したいのです。」と返ってきました。

さらに、掘り下げてお聞きすると、大手商品の加工の一部を請け負う 下請け加工では無く、自社で完成品を製造し一般消費者に提供したいということでした。つまりは、大手(元請け)と同じことがしたいということです。

なるほど、これでは開発が遠い存在になってしまいます。自ら開発を遠ざけてしまっています。下請けは厳しい、元請けになりたい、多くの加工下請け企業が抱くこの考えが、苦しい状態から抜け出すための開発を 自ら遠ざけています。下請けの何がいけないのか、自社商品とは何か、何を開発すべきか、これらすべてを自社とは遠い方向、自社にはできない方向に考え、自らを苦しい現状に追い込んでしまっているのです。

これは、この経営者が特殊なのではなく、多くの加工メーカーが同様に考えているというのが実感です。

まず、そもそも下請けの何がいけないのでしょうか?
受注が取れていれば、それで良いはずですが・・・

そうです。利益率が低すぎる、言い換えると薄利なのが問題なのです。では、なぜ、下請けは薄利なのでしょうか?

それは、代わりがいくらでも存在するからです。「この図面で加工できる企業はいますか?」との問いかけに応じる企業がいくらでも存在するからです。これは、加工作業の奪い合いに他なりません。

発注元は御社で無くても良いのです。さらに言うと、発注元は意図してこの状態を作っています。ということは、加工作業、言い換えると工賃稼ぎをしている限り、薄利状態からは抜け出せないということです。反対に、工賃稼ぎから脱却すれば、薄利状態からは抜け出せるのです。

下請け加工企業が薄利状態から抜け出すためには、自社の事業を、加工作業を行う工賃稼ぎと捉えるのではなく、加工によって〇〇という独自の価値を提供する事業と捉え直すことです。

お客さん(相手先)に、加工によって独自の価値を提供していれば、その加工は、代わりがききません。さらに、多数のお客さんに売ることができます。独自の価値すなわち御社の加工でなければ得られない価値を提供していれば、これはもう立派な自社商品なのです。実際には、加工しかしていなくても、この状態は、もはや下請けとは呼べません。独自の価値を生み出す御社独自の加工と言う自社商品を自ら開発提供しているからです。

加工下請けの薄利から抜け出すためには、加工によって何を提供するのか、これを考え、それを開発提案することこそが、カギを握るのです。必ずしも完成品を開発しなくても良いのです。

ご支援したあるプレス加工メーカーでは、プレス技術によって、従来のレベルを大きく超える部品の軽量化という独自の価値を開発提供することに成功しました。その価値の魅力に引き付けられた複数の企業からの受注にも成功しています。製造自体はプレス加工しかしていませんが、加工下請けの薄利状態からは完全に抜け出し、自社にしかできない加工された商品を複数の企業に開発提供されています。

工賃稼ぎから抜け出すこと。そうすれば、特定の商品にしばられない加工は、強力な武器になります。

御社の事業は何ですか?
御社の加工によって、これから何をお客様に提供しますか?