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コラム第187話:リーダーが育たない企業に欠けている力学


「リーダーが育っていない。」
社員の中から開発を推進するリーダーを選ぼうにも、リーダーになれそうな社員が育ってない現状を このように嘆く経営者の方によく出会います。

そして、それでも現状を変えるために開発しなければと考えた経営者が、何とかしようとしてとる二つの典型的なパターンがあります。

一つは、開発するために、新しく開発部門を作るというパターンです。開発を牽引できるようなリーダーがいないので、上下関係を持つ組織を作り、その上下関係で開発を動かそうとするパターン(パターン①)です。社員数が数十人、数百人を超える比較的規模の大きな企業でよく見られるパターンです。

もう一つは、同じくリーダーがいない中で開発するために、主要メンバーで集まって皆で協議しながら協力して進めようとするパターン(パターン②)です。比較的小規模な企業で、人間関係が重視され、その関係性が良好な企業によく見られるパターンです。

ですが、いずれのパターンも、結果は失敗します。

まず、パターン①ですが、上下関係で無いと人が動かせないので、組織の内部でしか仕事ができません。組織の中で完結できる範囲のことしかできなくなります。数人から10人、20人レベルの少人数では、自ずとできることが限られます。まともな開発をやるためには、どうしても組織を大きくする必要があります。しかし、経営資源の限られる多くの企業の場合、これは無理なことです。

次にパターン②です。これは、一見、中小企業に合っているように思えます。そう思えるので、実際にこのパターンをとる企業が多くあります。しかし、このパターンは、これまでも何度かご説明しているように、なかなか現状の延長線上を抜け出すことができません。皆で議論、協議を重ねるうちに、自然と皆が納得できる延長線上に議論が収束してしまいます。延長線上を抜け出す案は、必ず、誰かしらに反対され合意に達することができないためです。また、遠慮や妥協、さらには派閥化といった問題も生じやすい傾向にあります。

これらは、いずれもリーダーがいないから、とるパターンです。リーダーがいないから、上下関係で人を動かすしかない。あるいは、リーダーがいないから、人間関係で人を動かすしかない。そういった考え方です。

しかし、こう考えている限り、リーダー不在の問題は永久に解決されません。開発は上手くできず、リーダーも育たない状況が続くことになります。

なぜなら、次のように実際には、原因と結果が逆だからです。
上下関係で人を動かそうとするから、リーダーが育たない。
人間関係で人を動かそうとするから、リーダーが育たない。

リーダーを育てるためには、まず、この原因と結果の法則に気づく必要があります。

パターン①をとる企業は、人を動かす時に、無意識にでも上下関係を重視しています。上下関係を人を動かす力学にしているのです。そういった「文化」を持っています。

こういった文化の元では、指示待ちが生じ、上限関係を超えて自分の意見を表明することが無くなってしまいます。何より、出世するまで人を動かすことができません。そして、指示を着実に実行する人が出世することになります。これでは、いつまで経ってもリーダーが育つことはありません。いざ、何か新しいことを始めようとしたとき、頭に浮かぶのは、上下関係の頂点に立つ、上下関係でしかものごとを動かせない、ベテラン社員ばかりになります。

パターン②をとる企業は、人を動かす時に、無意識にでも人間関係を重視しています。人間関係を人を動かす力学にし、そういった文化を持っています。

現状の延長線をやる上では、こういった文化は非常にうまく機能します。ところが、現状を打破するリーダーシップは、こういった中からは生まれてきません。既存の秩序を壊すことができないからです。そして、このパターンもまた、人間関係において経験豊富で調整が上手いベテラン社員が力を持つことになります。

会社として、リーダーに必要な力学を重視する姿勢、そういった文化のもとでリーダーは育ちます。上下関係重視や人間関係重視の中では育たないのです。

では、リーダーに必要な力学とは、何なのか?
それは、「ビジョン」です。

何をしたいのか?
どこに向かうのか?

ものごとを動かす出発点として、これを重視する企業で、リーダーは育ちます。なぜなら、リーダーにはビジョンが欠かせないからです。そして、こういったビジョンは、若手でも持つことができます。リーダーを育てる企業には、必ず若手リーダーが育っています。リーダーになれるかどうかは、ビジョンを語ることができるかどうかです。そして、それを会社として求める文化があるかどうかなのです。

御社は、経営者が会社のビジョンを語り、社員にも自らのビジョンを語らせていますか?