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コラム182話:素早く売れる商品を開発するコツ


ある経営者の方から、開発中の商品について相談に乗ってほしいとの要望を受け、お話を聞くことになりました。

「どんな開発なのですか?」とお聞きすると、

「実は、先生、開発しているのは、こういう分野の商品です。ちょっとこの分野は特殊で・・・これに対して〇〇という技術を開発して・・・この技術というのは・・・さらに、これには、こういう技術も使っていまして・・・この技術というのがまたすごくて・・・」

こうして、30分以上も開発中の技術と商品の熱心な説明が続きました。社長のこの商品開発にかける思いや強い情熱が伝わってきました。

「すごい情熱ですね。ですが、開発というか開発者は、とんでもないことになっているのではないですか?」と問いかけると、

「そうなのです。次々とやることが増えて、開発が一向に前に進まないのです。」と、予想通りの答えが返ってきました。

なぜ、開発が大変なことになっていることが予想できたのかというと、答えは単純です。

話が長かったからです。

「それだけ?」と思われる方もいるかもしれませんが、経験的に、説明に時間がかかる開発というのは、それだけ長期化の傾向にあります。

実際に、この企業の開発では、商品で実現したいことが非常にたくさんあり、欲張った内容になっていました。また、それを実現するための開発内容は、非常に複雑で多岐にわたっていました。そのため、どうしても説明が長くなっていたのです。

これでは、開発現場はたいへんです。あまりにも開発要素が増え、しかも複雑に絡み合っていたため、完全に自分たちの解決能力を超えてしまっていました。

さらに、この方の説明からは、開発の過程で取り組みたいことが追加で次々と増えていっていることもわかりました。「開発する中で、こういうことがわかったので、それならば、もっとこういうことができると考えて・・・」とか、「こういう課題が新たに出てきたのでそれを解決するために、あらたにこういう取り組みを始めて・・・」など、次々と開発が増殖していった経緯が聞き取れました。これでは、開発が永遠と続いていき、いつまでたっても商品化までたどり着けません。

このように、開発が長引く原因としてよくあるのは、複雑な課題を複雑に解決しようとすることです。あるいは、複雑な要求や欲求を、複雑なままかなえようとすることです。当たり前のことですが、これでは、開発は複雑になります。

一般的に、物事を複雑にとらえる人は、物事によく気が付く傾向にあるので、開発中も次々に新しい課題や、新しくかなえたいことが出てきます。その度に、開発することが増殖していきます。さらに、冒頭の社長のように、情熱を燃やした熱心な方の場合、やることはとんでもなく増殖していきます。しかも、早くやりたい、急げ、急げ、他社に負けるな、他社が実現していることはすべて実現しろと、となるので、それはもう開発者はたいへんです。相当に優秀な人でも、途中で疲れ切ってしまいます。その結果、かなえたいことの一部どころか、一つも実現することができない結果に終わります。

こうならないためには、複雑な課題をいかにシンプルに紐解くか。複雑な要求や欲求をいかにシンプルに表すか。これが肝要です。

スーパーマンでもない限り、物事はシンプルにしないと解けないのです。複雑なまま解こうとすれば、やることも複雑になります。待っているのは、現場の疲弊と混乱です。複雑なことをシンプルにすることにこそ、力を入れるべきなのです。

御社の商品開発は、シンプルになっていますか?