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コラム第180話:社員に良質な失敗をさせていますか?


「先生、やはり失敗しました。」
「どうしたのですか?」

社長から失敗の詳しい内容説明が続きます。どうやら、社員が取り組んでいた開発が失敗したという内容のようです。

「実は、これこれ、かくかくしかじか・・・・・以上です。」
「なるほど。それは、良い失敗をさせましたね。」笑顔で答えます。
「そうなのですよ。」社長も笑顔で言います。
「次が楽しみです。」

失敗を互いに喜び合う社長とコンサルタント。傍から見れば、非常に不思議な光景です。不思議と言うより、理解できない光景かもしれません。

しかし、誤解を恐れずに言わせてもらえば、失敗には、喜んでもいい良質な失敗と言うものがあるのです。

もう少しだけ、この企業の失敗の内容を説明します。実は、この失敗した開発は、社員が提案したものでした。社員が「これをやってみたい」と自ら提案してきた案件だったのです。

その提案内容を聞いたとき、社長は、こう思いました。
「これは失敗する。」
いくつもの失敗と成功を重ねてきた長年の経験から、そう直感したそうです。そして、実際にその通りになりました。

なぜ、とめなかったんだ?
読者の中には、そう思われた方も多いかもしれません。

ですが、この社長はとめませんでした。とめないどころか、「よし、やってみろ。」そう背中を押したのです。
ただし、致命傷にならないように配慮して・・・

失敗と成功の法則をよく理解した、素晴らしい社長です。

この社長にとって、失敗することは最初から織り込み済みです。その上で、この社長が見据えているのは、その後、失敗した後のことです。失敗した後に期待しているのです。

実際に、この社長は、その失敗した社員に対して、こう伝えています。
「まさか、あきらめるつもりではないよな?」と。

これに対して、社員は答えます。
「もう一度やらせてください。次は必ず。」
失敗に意気消沈しながらも、まだまだ、目は死んでいません。

社長は、私にだけ言います。
「まあ、次も失敗するかもしれませんが、最初よりは成功の確率が上がっているでしょう。」顔はニコニコしていて、とても楽しそうにしています。

失敗させる余裕を持った、本物の経営者 との会話に、自然に私も笑顔になります。

開発の成功には、失敗が欠かせず、人の成長にも、失敗が欠かせない。
そのためには、失敗を恐れずに挑戦すること。
そして、挑戦に絶対に欠かせないもの。
それは、好奇心。

大切にすべきは、好奇心。
好奇心をつぶしてはならない。
好奇心からの行動は、たとえ失敗すると思っても、背中を押してあげること。
ただし、経営資源は突っ込みすぎない範囲で。

好奇心からの失敗は、必ず次につながります。
次につながる失敗は、いつか成功を呼び込む、良質な、良い失敗です。

御社は、社員の好奇心からの自主性を重んじていますか?
失敗を予感し、つい良心から好奇心をつぶしてはいませんか?