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コラム第176話:立ちはだかる業界の慣習や規制とどう向き合うか?


「お言葉ですが、先生、当社の業界は、新しいものを決して受け入れようとしない業界で、取引の無い企業と新たに取引を開始することはありません。余程実績のある大企業ならともかく、当社のような小さな企業はとても参入できません。この業界は特別なのです。」

これから何を開発するか、激論を交わしているある企業経営者との会話です。

この企業は、下請けの下請け、つまり2次下請けをしているのですが、大元の企業向けに商品を開発することを提案したところ、大元の企業が直接取引してくれることなどありえないという返事が返ってきました。

客観的な目で見て、この企業は、1次下請けの企業よりも高い技術を持っており、その技術は、大元の企業に直接売り込んでも十分に勝負ができるレベルです。しかし、過去の経験、長く付き合ってきた業界の慣習から、やる前からあきらめてしまっています。

そして、別の業界なら・・・と、異なる業界への参入を考えています。

確かに、業界の壁が厚い場合に、他の業界を模索することは一つの選択肢です。そちらを薦める場合もあります。

しかし、この企業の場合は、それを薦めませんでした。理由は、少なくとも今のままでは、必ず失敗するからです。たとえそれが、どんな業界であってもです。

なぜ失敗するのかというと、失敗する考え方をしているからです。

失敗する考え方をもっている以上、何をやっても、どんな業界に行っても、業界を変えても変えなくても、どんな手段を使っても、結果は、失敗に終わります。まず、そのことに気づかなければなりません。

この企業は、明らかに失敗する原因となる考え方を持っています。その考え方とは、次の2つです。

  • 自分の業界だけが、特別である
  • 業界の慣習は、変えられない

この企業は、この考え方をしているから今の業界で行き詰っています。そして、この考え方のままでは、どこの業界に行っても上手くいきません。

自分の業界だけが特別で、業界の慣習は変えられないと考えを持っていると、業界内に障害となる慣習があった場合、それが「できない理由」になってしまいます。変えられないと思っているので、すぐにあきらめることになります。そして、障害となる慣習や規制の無い業界を探し回ることになります。

しかし、探し回っても、そんな業界はなかなか見つかりません。当然のことですが、新しいものを喜んで受け入れるような都合の良い業界などほとんど無いからです。

仮にあったとしたらどうなるでしょうか?

もし、新しいものを喜んで受け入れる食いつきの良い業界があったとしたら、比較的容易に採用されるかもしれません。しかし、そんな業界では、すぐに次の新しい企業の新しい提案に乗り換えられてしまいます。

すると、こう言うはずです。
「この業界は、長続きしない 特 別 な 業界だから、だめだ」と。

そして、また、あきらめて別の業界を探すことになります。その結果は、また、同じことを繰り返すことになります。何度か繰り返した後、ようやく次の事実に気付くことになります。

どんな業界も特別だということ」に。

こうならないためには、初めから次のように考え方を改めなければなりません。

  • どんな業界にも障害となる慣習や規制が存在する
  • どんな慣習や規制も必ず変えるチャンスはある

こう考えた企業は、変える機会をうかがい、変える機会をとらえ、変えていきます。そして、新たな業界のリーダーになります。

業界の慣習に直面したときには、慣習を利用しつつ、それを変えるチャンスをうかがう、そんなしたたかさが求められるのです。

御社は、自社の業界だけが特別だと思っていませんか?
特別な慣習は、未来永劫続くと思い込んではいませんか?

あらゆる業界に、その業界の特別な慣習が存在します。そして、どんな特別な慣習も、時代とともに変化していきます。変える第一歩は、「変えられる」と信じることです。

冒頭の企業は、すでに動き出しています。 次は、御社が変える番です