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コラム第168話:チャンスをつかむ企業は、〇〇都合で開発を進めない


「今の当社の商品に対して、顧客は、ここの機能に不満を持っています。ですから、この部分の技術開発に力を入れ、次は、売れる製品にします。」

ある会社の開発目標です。顧客が不満を持っている機能をきちんと特定しています。その機能を向上させれば売れることもわかっています。そして、どのくらい機能を向上させるのか、目標値も定めています。一見、正しい開発の取り組みのように思えます。

しかし、この開発には、大きな「抜け」がありました。まじめに頑張る企業によくある抜けです。長年開発にたずさわっていると、雰囲気でわかります。「ああ、この企業は抜けている」とわかります。そして、それは、次の質問ではっきりしました。

「その機能開発は、いつまでにやるつもりですか?」
「それは、もちろん、できるだけ早く・・・」
思った通りです。

できるだけ早くの何が悪い?
そう、思われる人も多いかもしれません。確かに、それで早くなるのであれば、それでいいのですが・・・多くの場合、そうはなりません。

実際には、「できるだけ早く」=「でき次第」となって、機能開発が遅れた分だけ、商品化が遅れることになります。

一生懸命に、できるだけのことをやって、まだできていないのだったら、仕方がないじゃないか?と思われるかもしれませんが、まさに、その一生懸命にやっているのだから仕方がない、という論理が働くから、必然的に遅れてしまうのです。

できるだけ早く、可能な限り早く、可及的速やかに・・・これらの姿勢には、決定的に抜けているものがあります。

それは、「お客様」と、「ライバルの存在」です。
お客様は、その機能をいつまでに欲しいのか?
ライバル企業は、その機能をいつまでに実現してくるのか?
本来、これらを抜きに、商品化の時期を語ることはできません。

ところが、「できるだけ早く」と言う人の頭の中には、お客様もライバル企業も存在しません。少々きつい言い方になりますが、そこにあるのは、「自社の都合」だけです。

しかし、世の中は、自社の都合では回っていません。できるだけ早くやったとしても、お客様が欲しい時期や、ライバルが実現し提供する時期より遅くなってしまったら、どんなに頑張っていたとしても、その時点でアウトです。開発者は、ライバルとの時間との戦いであることを決して忘れてはならないのです。

同じように、機を逃す企業によくある意識が、完全なものにするという完璧主義です。お客様に完全なものを提供するために完璧でなければならない、下手に急ぐと不完全なものになるという主張です。

これまた至極まっとうな主張のように思えます。しかし、それは、自分たちが完全と考えるものを押し付けようとする自己都合になっていないか、よくよく考える必要があります。自社が完全と思えるものができたとしても、それがお客様にとって、不必要であったり、欲しい時を過ぎていたら、それは、要らないものになってしまいます。たとえ、少し劣るものであっても、お客様が許容できるものを、先に他社に出されて市場を支配されてしまったら、これもアウトになってしまいます。

ライバルとの競争において、たとえ遅れても完成度で打ち負かすのか?
それとも、たとえ完成度で劣っても先に出すことでライバルを打ち負かすのか?
戦略をもって、優先度を決めなければならないのです。
そして、それは、自社の都合だけでは決められないのです。

チャンスをつかむ企業は、決して、自社の都合だけで、開発を進めたりはしません。

御社は、お客様とライバルを見て、機をとらえていますか?