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コラム137話:急げ急げという前に、開発を間に合わせるために経営者が為すべきこと


「いつも開発が遅れる。欲しい時期に間に合わない。」

自社の開発スピードに不満を抱える、ある社長の言葉です。

この社長は、かなり意欲的な方で次々と開発に取り組んでいます。ところが、いつも開発が遅れて目標とする時期に間に合わずに不満を抱えていました。こういったケースによくある、時期の目標だけ決めて計画無しに進めているパターンかというと、そうでは無く、計画は立てていました。ところが、いつも計画通りに進まず、ズルズルと計画から遅れていました。お客さんに約束した時期に間に合わずに迷惑をかけることも度々あり、なんとかしたいとの相談です。

開発が遅れる原因には様々ありますが、この企業のように、いつも遅れる、なおかつ、経営者が求める時期に間に合わないというパターンの多くには、共通の原因があります。

それは、「経営者と開発者間の相互不理解」です。

経営者は開発者のことが見えておらず、開発者は経営者のことが見えていない、というパターンです。

では、何が見えていないのでしょうか?

まず、経営者が見えていないこと、それは、開発に必要な取り組み項目と各取り組みに必要な業務量です。経営者の多くは、開発に必要な取り組み項目と業務量が分からないため、開発者任せにします。その結果、経営者が当初思っていた業務量と実際の業務量に開きが生じ、遅れてしまうのです。

「そうならないように計画を立てている」企業も多いと思います。冒頭の企業も計画を立てていました。問題は、その立て方です。経営者は、類似の案件や他社の事例を参考に「これくらいでできるだろう」と完成時期を想定し、それを開発者に提示してはいないでしょうか?経営者に想定時期を示され、計画立案を指示されれば、開発者は、なんとかそこに間に合う計画を立てようと無理をしてしまいます。

あるいは、時期を提示せずに必要な計画を出すように指示をすると、経営者の想定時期よりも大幅に遅い日程が出てきたり、いつも急がされている場合は、忖度して無理な計画を出してきたりします。

いずれにしても、実際の各業務にかかる時間=業務量と計画に開きが出てしまうのです。

次に、開発者が見えていないこと、それは、開発で満たすべき各要求項目の優先順位です。開発者の多くは、要求項目の優先順位が見えていません。そのため、要求されたことは、すべて等しく必ず満たすべきものというとらえ方をしています。たとえ経営者やお客さんが、「できればこういうことができないか」とか「ついでにできるのならこういうものも」と思った要求でも、必ず満たすべきものという扱いをしてしまいます。優先順位の説明は無いのですから、当然と言えば当然です。

こうして、すべての要求を懸命に満たそうとすると、どうしても時間がかかります。ところが経営者やお客さんからの時間への要求は厳しいため、開発者は、常に矛盾した要求に挟まれ苦しんでいます。その結果、すべてはやり切れず、しかも、時間にも間に合わず、といったことがよく起こるのです。

そして、この開発者が優先順位付けをできない場合、開発が計画通りに進まなかったときに取り戻すことが極めて難しくなります。必要な項目は変わらないのですから、遅れた分は、仕事時間を延ばすしかなくなります。仕事時間を延ばして延ばして、ついには延ばしきれなくなって遅れてしまうのです。

一方で、日程通りに開発する企業では、たとえ途中で計画に対して遅れても、きっちり間に合わせてきます。そういった企業では、遅れた場合に、優先順位に基づいて、その後の取り組み項目を整理します。遅れた分、残りの仕事量を減らしにいくのです。これは、各取り組み項目の優先順位付けがきちんとできなければ、決してできないことです。開発を間に合わせる企業は、この優先順位付けがきっちりできているのです。

開発日程を守れる企業と、いつも遅れる企業の最大の違い、それは、「各取り組み項目の業務量の把握と優先順位付けの両方をできる人がいるか、いないか」です。いつも遅れる企業では、業務量を把握できる人と、優先順位付けができる人が別々で、しかも相互不理解の状況にあります。

いつも遅れる企業でも、経営者は優先順位を正しく付けられる情報を持っています。しかし、どんな取り組み項目が必要で、各項目にどれくらいの時間がかかるかは、はっきり知りません。一方で、開発者は、必要項目と必要時間はおおむね分かっています。ところが、優先順位ははっきり知りません。両方を知る人が存在しないのです。そのために、互いが見えず、相互不理解のまま、開発がズルズルと遅れていってしまうのです。

御社は、開発者に優先順位を判断できる情報を与え、常に日程に合わせて取り組み項目を調整できるようにしていますか?