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コラム第127話: 企業存続に必要なのは、無理せず、あきらめず、〇〇すること


「ドーンと投資して、スゴイことをやろうとばかり考えていました。なるほど、こういうやり方があったのですね。目からウロコです。」

開発に取り組もうと少し前に当社の門をたたかれ、目下意欲的に取り組まれている、ある社長の言葉です。

開発というと、何か新しく設備を入れて実験や試作を繰り返し、時間とお金をかけて技術を作りこみ、他社が真似できない、すごい技術を開発して・・・というイメージを持たれている方が多くいます。このイメージにとらわれた企業がとる行動は、次の内のどちらかになります。

  • とても自社の規模ではできないと、最初からあきらめる
  • 自社の規模を超え、無理して挑戦する

後者の場合、無理して挑戦したものの、時間とお金がかかり過ぎて途中で続けられなくなります。その失敗から学んで再挑戦できればいいのですが、失敗した結果、やはり自社の規模では無理と、結局あきらめてしまうことが起こります。実際には、自社に開発が無理なのではなく、自社に無理な開発をしてしまっただけなのですが・・・

いずれにしても、多くの製造企業が、何を造るべきかを考えること、そして、それを開発することをあきらめてしまっています。そして、客先に造るものや開発するものを提供してもらう、受託製造や受託開発に専念するようになります。受託製造・受託開発では、造るもの・開発するものは決まっており、また、それを買ってくれることも確実なので、一見するとリスクは少なく、時間と資金も比較的かかりません。受注さえ確保できれば、経営者も社員も楽ができます。このように、受託は、一見、バラ色のように思えます。

ところが、受託をやっている方はご存知のように、実際には違います。受託では、客先から切られればそれで終わりという、客先に運命を握られた状態になります。運命を握られているために、価格低減の要求には応えざるを得ません。製造工程を見たいと言われれば見せざるを得ず、技術の秘匿もままならなくなります。その結果は、低収益かつ客先依存経営です。実際に、多くの受託企業がこの状況に陥っています。

ただ、それ以上に、受託企業が抱えることになる最大の経営問題があります。それは、開発失敗のリスクとは比較にならないほどに、ダメージが大きく、取り返しがつかず、かつ、高確率で発生する問題です。いわば受託製造・受託開発の最大のリスクと言えるものです。

受託製造・受託開発の最大のリスク、それは、「社員が考えなくなること」です。

決められたもの、求められたものを造るだけ、開発するだけ、この状態を長く続けてしまうと、どんどん社員の考える力は衰えていきます。ただひたすら、決められたものを決められたとおりに造る作業ばかりを続けていると、社員は、考えることをやめ、作業に徹するようになります。そして、終いには、社員はただの作業者になってしまいます。こうなると、決められた作業以外はできなくなり、作業が無くなるとともに仕事を失うことになります。考えることをやめるのと同時に、会社の未来も、社員の未来も失われてしまうのです。

社員を会社にとって欠かせない人財にするためには、社員を知恵が出せる人、考えることができる人に育てなければなりません。ところが、経営者が、社員の考える力を養うどころか逆に考える力を奪ってしまい、社員の可能性を、社員の将来をつぶしてしまっている、それが、受託のみを長く続けた企業の現場で起こっていることです。

そうならないために、経営者は、社員に考えるべき方向を示すことです。たとえ、受託製造を主体にしていても、常に、これからは何を造るべきかを社員に考えさせること、考える「お題」を社員に与え続けること、さらには、一人一人の社員に行動を求めること、これが大切です。

人や資金が足りないのなら、人や資金をかけずにやる方法を知恵を出して考えることです。もちろん、無理をしてはいけません。しかし、あきらめてもいけないのです。

無理せず、あせらず、あきらめず、できることを考え、一歩ずつ前進することです。一歩ずつの積み重ねが、会社と社員の未来を切り開いていきます。

御社は、受託に甘んじることなく、自社でできることを考え抜いていますか?