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コラム第120話: 開発に「たまたま」成功することは無い


先日、ご相談を受けたある企業の社長から、これまでの開発の取り組みを聞いていた時のことです。この会社は、先代の創業者が開発好きで、いくつか取り組んだそうです。残念ながら、そのほとんどは失敗に終わりました。そのため、現社長は、開発に対して高いハードルを感じています。

ところが、話が先代のある開発に及んだときのことです。途中まで話を聞いた段階で「あ、これは成功する確率が高いな」と直感しました。話の内容から、成功する確率が高いと感じたのです。

すると、「この開発は、一応、成功し、いまでも売り上げに貢献しています」とのこと。「やはり」と思い、うれしそうな顔を想像して社長の方を見ました。ところが、社長の表情はあまりうれしそうではありません。

不思議に思って聞いてみると、それっきり成功していないため、事業としてはあまり大きくなっていないとのことでした。

そこで、次の質問を社長に投げかけました。
「その開発が、成功した要因は何だと思いますか?」

すると、社長から予想通りの回答が返ってきました。

「何でしょうね。当初は、横から見ていて、こんなもの成功しないと思っていたんです。ところが、売り出してみると、偶然、欲しいと言ってくれるお客さんがいて売れたんですよね。そこから次々と引き合いが来て・・・。でも、売れた理由はよくわかりません。ありふれた商品で特別に良い商品でも無いし・・・やっぱり、たまたま、だと思います。」

思った通り、開発に成功した当の本人が、その成功要因に気づいていなかったのです。

「そんなばかな」と思われるかもしれませんが、これは非常によくあることです。

このように、成功者自身が成功要因に気づかずに、その後失敗した例としてよく引き合いに出されるのが、第2次世界大戦の日本軍とアメリカ軍の例です。日本軍は、開戦当初、航空機で大成功したのに、その後も軍艦にこだわり、日本軍から学んだアメリカ軍が航空戦力を大幅に増強し成功したのは有名な話です。

表題にも書きましたが、成功に「たまたま」はありません。「たまたま」にしてしまう成功者が居るだけです。

明確に成功要因があり、その要因を満たしていたからこそ成功したのに、当の本人はそれに気づかずに、成功を一過性の「たまたま」なものにしてしまうのです。

現に、冒頭の企業の成功にも、明確に成功要因があります。話の途中で、その成功要因に気づいたからこそ、「あ、これは成功する確率が高いな」と直感したのです。この企業のように、過去に成功例を持つ企業はたくさんあります。

ところが、当の本人がその成功要因に気づいていません。気づいていないので、繰り返し成功することができずにいます。そして、自分たちはだめだと謙遜したり、自信を失ったりしています。あるいは、どこか他所に成功できる話がないかと探し回っています。

これは、あまりにももったいないことです。自社に今後に活かせる成功があるのに。自社の成功例は、他社の成功例とは違って、間違いなく自社の戦力で成功できる要因であるのに。それを「たまたま」と片付けてしまっています。

そうではなく、成功したときには、「成功した要因はこれだ」とズバリと言えるまで、深く、深く、掘り下げることが重要なのです。

御社には、過去に、たまたま、成功した開発がありませんか?

それは、本当に「たまたま」ですか?