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コラム第110話: 失敗も悪くない


ずいぶんと勇気のいるタイトルでした。少し迷いましたが、思い切ってつけてみました。それというのも、日頃から開発のご支援をしていて、よく感じることがあるからです。

それは、「いつから、この国は、こんなにも安全志向になったのだろう?」ということです。失敗を恐れて、安全な方へ、安全な方へ考える人が、どんどん増えているように感じます。

話は少しそれますが、先日、センター試験のニュース記事を読んでいると、現役志向、安全志向がますます強くなっているとのことでした。本来、最も好奇心旺盛で挑戦志向の強いはずの若者までもが、安全志向になってしまっているのも、世の中全体の傾向を表しています。ただ、そうは言っても、受験生の場合は、受験そのものに挑んでいるだけ偉いと思います。

ところが、これが開発となると、開発することすらしない人たちが、たくさん居ます。中には、若者の安全志向を嘆きながら、自分はというと、全く挑戦していない、という人まで居ます。

誤解しないで欲しいのですが、とにかく開発しろ、と言いたいのではありません。開発すべきか、すべきでないか、冷静に考えた上で、開発しないという経営判断をしたのであれば、それは尊重すべきことです。ですが、何度か当コラムでも書いてきたように、実際には、失敗への恐怖から、感情的に開発を避けているケースがよく見られます。

そういう方へのメッセージとして、あえて、冒頭のタイトルをつけました。感情的に開発を避けている経営者に、ぜひ、考えてみてほしいことがあります。

それは、「具体的に、開発に失敗したら、失うものは何か?」ということです。「具体的に」です。

失敗したら恥ずかしいとか、周りから「それみたことか」と批判されるとか、成功者と比較されるとか、そういった「感情」は、抜きにして下さい。冷静に、具体的に、失うものを列挙してみて欲しいのです。

よくよく具体的に考えると、「意外に少ない」という事実に気づくのではないでしょうか?

このとき、意外に少なかった人は、感情的に開発を避けていた人です。逆に、多かった場合は、その開発は、避けるか、考え直したほうが良いかもしれません。ですが、後者の人は、少数派のはずです。

意外に少なかった場合、ぜひ、次のことも考えてみて下さい。

「開発しなかったら、失うものは何か?」

新規開発をせずにこのまま放っておくと、我が社はどうなってしまうのか?
そこから抜け出す機会を見す見す失ってはいないか?
ぜひ、これらのことを自問自答してみて下さい。

と、ここまではよく言われていることですが、さらに、考えるべきことがあります。

それは、失うものでは無く、得られるものについてです。

失うものの比較は、マイナスの側面ですが、今度は得られるものという、プラスの側面です。具体的には、次のような質問への答えです。

「開発に成功したら、得られるものは何か?」
開発に失敗しても、得られるものは何か?

成功したら得られるものについては、皆さん、意識します。ですから、ここでは、後者の失敗しても得られるものについて、言及します。

人間、どうしても失敗した場合に、失うものに目が行きがちです。そもそも失敗という文字がいけません。文字に「失」が入ってしまっています。ですから、失うものに目が行くのも仕方がないかもしれません。しかし、前述のように、そこで感情的になるのでは無く、冷静に失うものを分析しなければなりません。そして、さらに、そこから意識するべきことが、失敗しても得られるものに目を向けることです。

失敗から得られるものは何か?

それは、「成功するために不足しているもの」です。

失敗から得られるもの、そこには、成功するために欠かせないありとあらゆるものが含まれています。そもそも、成功するために不足している部分があるから、失敗するのです。そして、それは、失敗してみて初めてわかります。

「他社の失敗から学べば良い」と思う人もいるかもしれませんが、失敗者は、苦労して失敗から得た成功するための知見を、そう簡単に人に話すものではありません。それだけ貴重な知見が得られているからです。

この貴重な知見こそ、失敗から得られるものであり、失敗した人にしか得られないものです。

この失敗しても得られるもの、ここまで視野に入れた上で、開発に踏み出すべきか、とどまるべきか、冷静に判断すること。これが経営者と開発者には、求められます。

御社は、どん欲に、得られるものを求めていますか?
たとえ失敗しても、そこから得られるものは、たくさんあるはずです。
挑戦しなければ、それは、決して得ることはできません。