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第20話: 開発vs地道な改良

コラム第20話

コラム第20話
「私のような業界でも開発型企業に変わることが必要でしょうか?」 
 
先日ご相談のあった、ある鍛造メーカーの方のご質問です。
聞くと、「自分の業界は、職人的な仕事(職人仕事)をしている業界であり、派手な開発では無く、地道な改良が求められている」ということでした。
 
私には、この「職人的な仕事」という表現が非常に印象的で、とても示唆に富んだ表現だな-と感じました。
 
と同時に強い危機感を抱きました。
 
今日は、少し、その話しを書きます。
 
おそらく、日本の製造業の方の多くが、大なり小なり、この企業の方と同様に「自分の仕事は、職人仕事」と思っているのではないでしょうか。
 
日本の製造業の多くは、「ものづくり」「自社製造技術」「職人技」の高さが強さになっています。
しかし、同時に そこへの固執が最大の弱点になっています。
 
歴史を振り返れば明らかなことですが、好む好まないに関わらず、常に、世の中の技術の進歩は、職人しかできなかった領域、高度な製造技術が必要だった領域を減らしていきます。
 
「職人仕事 - 技術の進歩 = 事業領域 縮小」の構図です。
 
世の中の技術の進歩に対抗して、あるいは背をむけて、職人技術をひたすら地道に改良し、新たに職人しかできない仕事を作っても、それに見合う値付けができなければ、事業が縮小していく流れは変えられません。
 
そして、重要なことは、IT革命に端を発した技術の急速な進歩によって、「今後、この技術の進歩によって職人仕事が縮小していく流れは、急速に加速する」という現実です。
 
また、この流れは、多少の前後はあるにしても、製造業において、どの業界にも ほとんど例外なく訪れます。
 
例えば、将来、3Dプリンタで、だれでも、どこでも、いつでも、早く、安く、強靭な複合材料で、どんなサイズの製品でも「プリント」できるようになったとき、製造の職人仕事に残される領域は、どの程度あるのでしょうか?
 
少し飛躍した例え かもしれませんが、果たして、これは、遠い遠い未来の話しでしょうか。 技術は確実に進歩しています。
 
こういった流れの中で、流れに逆らって自社の技術をひたすら磨いて対抗しても、現状を維持するだけで疲弊してしまい、やがて縮小を余儀なくされます。
 
本質的な流れは、一企業の努力では、どうすることもできません。
 
では、今、生き残るために必要なことは、何でしょうか?
それは、 「世の中の技術の進歩に対抗したり無視する姿勢」ではなく、 「世の中の技術の進歩を利用する姿勢」です。
 
つまり、
「職人仕事 × 世の中の技術の進歩 = 事業の拡大」
これを目指すことです。
 
職人仕事に閉じこもるのではなく、広く世の中の技術の進歩を利用するのです。
 
ここで一つ重要なことは、決して「職人仕事」を不要とは言っていないことです。
上記のような話しをすると、どうしても「職人仕事」はもういらない、他の仕事を探そう、というふうに考える方がよくいらっしゃいます。
 
そうではなく、これまで競争力を発揮してきた大切な資産である「職人仕事」を生かして、しかも世の中の技術も利用する視点を持ってほしいのです。
 
「職人仕事」と「世の中の技術の進歩」を かけ算するのです。
 
これこそが、これからの時代に事業を拡大していくために、大切な視点です。
 
是非、そういう視点で、一度、自分の仕事を眺めてみてください。 明るい未来が広がることを願っています。